阪急2000系列の知られざる短命車両

のせでんコラム,鉄道コラム

※本記事の『2000系列』の定義について:
 神宝線向けの2000系・2021系・2100系を対象とします。
 京都線向けの2300系・2800系や別設計思想の2200系は含めません。

 

阪急2000系列(2000系・2021系・2100系)といえば、
高度経済成長期の1960~64年にかけて建造され、
令和の今もなお能勢電鉄1700系として現役車両が残る、全国にファンが多い名車です。

高度経済成長期に建造されたのち、
600V→1500Vへの昇圧、2021系の電装解除などなどを経て、
(このあたりは阪急の詳しいサイトさんを参照ください)
1983年より引退が始まります。

阪急電車としての廃車で先陣を切ったのは
モーター出力が弱めに設計されていた2100系の能勢電鉄譲渡・1500系への改造でした。
(同じ頃に2050が事故廃車されていますが、イレギュラーです)

バブル崩壊や経済不況が続く現在では考えられませんが、
平成に入り8000系が導入されると、その置き換えで
順次2000系・2071系(元2021系)が車齢30年ほどで淘汰されていきました。

一部は能勢電鉄譲渡・1700系への改造が行われましたが、
そうならずに解体された車両も運転台撤去車を中心に多く存在しました。

本記事ではそんな2000系列の年表を追ってみます。

 


阪急2000系・2021系・2100系 製造・廃車年表

2000系・2021系・2100系の製造年月や廃車年月をまとめた図表です。並べ替えや絞り込みもできます。
 

車種製造阪急
改番
阪急
廃車
能勢
改番
能勢
廃車



2050Tc1960/11--1984/12
(事故)
----24.1
2051T1960/11--1990/1217842023/0262.2
2052Tc1960/11(To化)2000/01----39.2
2053T1960/11--1990/0117832019/0558.5
2054Tc1960/11--1990/1017532019/0558.5
2055T1960/11--1983/0215812016/0655.6
2056Tc1961/11(To化)1989/06----27.6
2057T1961/11--1990/0217822018/0556.5
2058Tc1961/12--1990/0117512017/0355.2
2059T1961/12--1985/0315842015/0453.3
2060Tc1961/12(To化)1990/10----28.9
2061T1961/12--1989/0617802005/0343.2
2062Tc1962/12--1991/011755現役現役
2063T1962/12--1990/0117812017/0354.2
2064Tc1962/12--1991/1017582017/0354.2
2065Tc1962/12--1990/10----27.9
2066T1962/12--2005/12----43.0
2067Tc1962/12--1990/0217522018/0555.4
2068Tc1962/11--1991/1017562022/1260.1
2069T1962/11--2005/12----43.1
2070Tc1962/12--1992/021757現役現役
2000M1960/11--1990/1217342023/0262.2
2001Mc1960/11(Mo化)1990/02----29.3
2002M1960/11--1992/021737現役現役
2003Mc1960/11--1989/0617002005/0344.3
2004M1960/11--1989/0617302005/0344.3
2005Mc1960/11--1990/1017032019/0558.5
2006M1961/11--1990/0217322018/0556.5
2007Mc1961/11--1990/02----28.3
2008M1961/12--1990/0117312017/0355.2
2009Mc1961/12(Mo化)1989/06----27.5
2010M1961/12--1991/1017382017/0355.2
2011Mc1961/12--1991/1017082017/0355.2
2012M1962/12--1991/011735現役現役
2013Mc1962/12--1991/011705現役現役
2014Mc1962/12--1990/1217042023/0260.2
2015M1962/12--1990/10----27.9
2016Mc1962/12--1990/10----27.9
2017Mc1962/12--1990/0217022018/0555.4
2018M1962/11--1991/1017362022/1260.1
2019Mc1962/11--1991/1017062022/1260.1
2020Mc1962/12--1992/021707現役現役
2071Tc1963/09(To化)1991/09----28.0
2072T1963/09--1991/1217882017/0353.5
2073T1963/09--2002/04----38.6
2074Tc1963/09(To化)1992/01----28.3
2075T1963/09--2011/04----47.6
2076T1963/09--2014/03----50.5
2077Tc1963/09(To化)2002/04----38.6
2078T1963/09--1992/011787現役現役
2079Tc1963/09(To化)2013/03----49.6
2080T1963/09--2008/03----44.5
2081Tc1963/10(To化)2007/06----43.7
2082T1963/10--2007/06----43.7
2083Tc1963/10(To化)2007/06----43.7
2084Tc1963/11(To化)2007/06----43.6
2085T1963/11--2011/04----47.5
2086Tc1963/11(To化)2003/02
(三木)
----39.3
2087Tc1963/11(To化)1995/04
(震災)
----31.4
2088T1963/11--2000/01----36.2
2089Tc1963/11(To化)1990/01----26.2
2090Tc1964/05(To化)2014/08----50.3
2091Tc1964/05(To化)2000/01----35.7
2021M1963/092171(T)
→3022(Ⅱ)
2008/03----44.5
2022M1963/092172(T)2005/12----42.3
2023Mc1963/092173(To)1990/10----27.1
2024M1963/092174(T)2008/07----44.9
2025M1963/092175(T)2014/02----50.4
2026Mc1963/092176(To)2012/11----49.2
2027M1963/092177(T)1991/011785現役現役
2028Mc1963/092178(To)2007/06----43.8
2029M1963/092179(T)2012/04----48.6
2030Mc1963/09--1985/0215852015/0451.6
2031M1963/102181(T)2007/06----43.7
2032Mc1963/102182(To)2007/06----43.7
2033Mc1963/102183(To)2002/04----38.5
2034M1963/112184(T)2011/04----47.5
2035Mc1963/112185(To)2007/06----43.6
2036Mc1963/112186(To)2003/02
(三木)
----39.3
2037M1963/112187(T)1991/0917862022/1259.1
2038Mc1963/112188(To)2012/11----49.0
2039Mc1963/112189(To)1989/06----25.6
2040Mc1964/052190(To)2014/08----50.3
2041Mc1964/052191(To)2012/04----48.0
2150Tc1962/01--1983/0215502016/0654.4
2151Tc1962/01--1983/021580
→1560
2016/0654.4
2152Tc1962/01--1983/0215512016/0654.4
2153T1962/012055(Ⅱ)2008/03----46.2
2154Tc1962/012050(Ⅱ)1990/1217542023/0261.1
2155T1962/012059(Ⅱ)2002/04----40.3
2156Tc1962/01--1984/0215532016/0254.1
2157T1962/01--1984/0215832016/0254.1
2158Tc1962/12--1984/0215522016/02
(保存)
53.2
2159Tc1962/12--1985/0415542015/04
(三原)
52.3
2160T1962/12--1984/0215822016/0253.2
2161Tc1962/12--1985/0415552015/0452.3
2162Tc1962/1220921990/0117502005/0342.2
2163T1962/1220932013/07----50.6
2164Tc1962/122094(To)1990/02----27.2
2100Mc1962/01--1983/021530
→1510
2016/0654.4
2101Mc1962/01--1983/0215002016/0654.4
2102M1962/01--1983/0215312016/0654.4
2103Mc1962/01--1983/0215012016/0654.4
2104M1962/01--1985/0315352015/0453.2
2105Mc1962/01--1985/0315052015/0453.2
2106M1962/01--1984/0215332016/0254.1
2107Mc1962/01--1984/0215032016/0254.1
2108Mc1962/12--1984/0215022016/0253.2
2109M1962/12--1984/0215322016/0253.2
2110Mc1962/12--1985/0415042015/04
(三原)
52.3
2111Mc1962/12--1985/0415342015/0452.3
2112M1962/1220421990/1017332019/0556.4
2113Mc1962/122043(Mo)1990/01----27.1
2114Mc1962/1220441990/0117012017/0354.2

車種製造阪急
改番
阪急
廃車
能勢
改番
能勢
廃車




 

阪急2000系列の廃車は、イレギュラーを除くと
大きく以下のグループに分けられます。

  • ① 7000系新造による置き換え(1983~1985年)
    • 全車が能勢電鉄譲渡・1500系へ改造
  • ② 8000系新造による置き換え(1989~1992年)
    • 一部は能勢電鉄譲渡・1700系へ改造
    • ここで譲渡対象から外れた車両は若くして廃車解体
  • ③ 5200系・3000系の短編成化や編成廃車に伴う廃車(2000~2014年)
  • ④ 5000系リフレッシュ改造に伴う余剰廃車(2002~2007年)
  • ⑤ その他イレギュラー(事故・被災廃車。初代2050・2087)

初代2050は製造から約24年での事故廃車となりましたが、
上記グループで『②』の譲渡対象外になったうち15両が
25.6~29.7年と、30年に満たない車齢で廃車解体されています。
(上図では赤字で表記)

そのほとんどは運転台撤去の元先頭車ですが、
例外的に「2065-2015-2016」の3両編成も含まれています。
これはかのブラック・ジャック「ピノコ西へいく」に登場した車両です。

この広告は大阪梅田駅9号線で見ることができる

また最終的に1758Fとなった「2064-2010-2011」の3両編成も
阪急除籍から能勢電鉄デビューまでかなりの月日を要しており、
解体保留のまま半年ほど過ごしたのではないかと考えられます。

一方、能勢電鉄へ譲渡された車両は基本的に長寿となりました。
2022年に惜しまれつつも引退した1756F・1754Fの種車は
いわゆる阪急の高性能電車では初めての還暦越えの引退となっています。

 

のせでん1700系に乗る際には、
そうやって若くして去っていった2000系列の「同僚」達にも
思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

 

 

<参考データ>

阪急の高性能電車における最短命・最長寿だった車両

形式最短命車両最長寿車両
1000形
(初代)
全車:約29年
(1954/11~1984頃)
---
1010系
1100系
1194:約23年
(1961/10~1984頃)
1108・1158・1159:約43年
(1958/10~能勢~2002/03)
1200系1232・1233:約25年
(1958/07~1983頃)
1200F・1201F:約27年
(1956/08~1983頃)
1300系
(初代)
1358:約22年
(1961/10~1984頃)
1303F:約30年
(1957/11~1987頃)
1600系1606F:約23年
(1960/09~1983頃)
1601F:約26年
(1957/05~1983頃)
2000系2009:約27.5年
(1961/12~1989/06)
2002:能勢現役
(1960/11~)
2021系2039:約25.6年
(1963/11~1989/06)
2027・2078:能勢現役
(1963/09~)
2100系2113:約27.1年
(1962/12~1990/01)
2154:約61.1年
(1962/01~能勢~2023/02)
2300系2377:約33.8年
(1967/07~2001/05)
2355:約53.3年
(1961/12~2015/04)
2800系2897:約15.8年
(1972/08~1988/06)
2831:約37.0年
(1964/05~2001/05)
3000系3072F:約42.2年
(1966/12~2008/03)
3551:約55.5年
(1964/12~2020/05)
3100系3161F:約33.2年
(1966/11~2000/01)
3156F:約55.5年
(1965/12~能勢~2021/05)
3300系3954:約40.9年
(1979/02~2020/01)
3353:現役
(1967/12~)
5000系5563:約49.4年
(1969/11~2019/04)
5001×3R:現役
(1968/01~)
5200系5711・5741:約21.0年
(1970/12~1991/12)
5230・5240:約29.5年
(1970/06~2000/01)
5100系5681:約42.2年
(1977/01~2019/04)
5104・5140・5770など1次車12両:現役
(1971/06~)
5300系5909:約39.5年
(1981/05~2020/11)
5300・5301・5800など1次車14両:現役
(1972/09~)
2200系2750・2751:約43.0年
(1975/03~2018/03)
7090・7190など1次車6両:現役
(1975/03~)
6000系6600:約33.6年
(1977/07~2011/04)
6001×4R:現役
(1976/03~)
6300系6330F:約25.8年
(1984/01~2009/11)
6351×4R:現役
(1976/02~)
形式最短命車両最長寿車両
※2024年1月現在。赤字は30年未満、青字は45年以上。
※全車が現役で1両も廃車解体が出ていない形式は除く。
※形式変更や他社に譲渡された後の現役期間も含む。
※本記事のテーマに沿って老朽廃車のみとし、事故・被災廃車および保存車は除く。(初代3109や2301F等)

 

<参考文献・資料出典>

 


(NOSE KNITs – のせでん沿線の魅力紹介WordPress)

 ※本ページには各種Web広告を設置していません。

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Tetsudo.comより)