【特急日生エクスプレス】8005Fがリニューアルされたら能勢電から見納めになるモノとは?

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目次


前置き

阪急宝塚線~能勢電鉄の直通列車として、
1997年11月に運行開始した『特急日生エクスプレス』

当時最新鋭だった8000系の
8004F8005F8006F8007F
無線機などの能勢直通対応工事が施工され、
当初はこの4編成が専用で特急日生エクスプレスに入っていました。
(検査時の予備で6011Fも能勢直通対応)

その後の増発で6000系の他編成が能勢直通対応したり、
新造当初から能勢対応している1000系の増備によって
6000系が1本また1本と能勢直通運用から外れたり、
この30年弱の間に色々な変遷がありました。

そんな中でも8000系の4編成は運行開始以来の
セミクロスシートが人気だったこともあり、
2024年現在でも特急日生エクスプレスに入っています。

しかし車両の経年もあり順次リニューアル工事を実施。
制御装置が変わったり、顔つきが少し変わったり、
他車とサービスレベルを合わせるために
セミクロスシートがロングシート化されるなど、
「平成の阪急電車」ともいえる往年の姿が失われた代わりに
時代のニーズに合った「令和の8000系」とも呼べる姿になっています。

2024年1月現在、能勢対応の8000系では
8007F・8006F・8004Fがリニューアル済で、未施工なのは8005Fを残すのみ。
しかし検査周期より、2024年上半期中にはリニューアル工事に入るものと考えられます。

⇒2024/03:全般検査のみで出場しました。『その後――』の項も参照。

そこで(前置きが長くなりましたが)今回は
8005Fがリニューアルされた際に能勢電鉄線内から
見納めになる(であろう)ものをまとめてみました。

 



リニューアルで消えるもの

※本記事のリストでは、平日の特急日生エクスプレスに入る編成が対象です。
 能勢電鉄籍でありながら能勢電鉄線へ乗り入れない6002Fは除きます
 

① 8000系原型顔
箕面線や神戸線ではわずかに残っていますが、能勢線内からは見納めに。
また8040Fは少し違う顔付きながら原型ですが、能勢線内には入れません。
貫通扉に車番が大きく書かれたスタイルも(阪急車では)最終なら、
顔の右下と左下についた電球色の標識灯も、リニューアルされると白色LEDに変わってしまいます。

 

② セミクロスシート
8000系といえばコレ!
というシンボルの1つだったのが、宝塚側2両に設置されたクロスシート。
どことなく6300系のクロスシートの面影を残しています。
運行開始にあたってはセミクロスシートで統一するため、8006Fが8000Fと交換で神戸線から移籍しています。

宝塚線では開業以来初めてのクロスシートで、Wikipediaには
「乗客からの評判は(特に神戸線で)今一つであったという」
なんて書かれていますが、特急日生エクスプレスにおいては超人気。
朝夕7本ずつに増発された際には6000系が「ハズレ」呼ばわりされ、
一部の乗客は6000系が来ると次便に期待して見送るほどでした。
リニューアルで他車と同じロングシートに変更され、残りは神戸線の8002Fのみとなってしまいます。

セミクロスシートが無くなれば、付随してこれらの
「肘掛け」や「2個だけの吊り革」なども見納めとなります。

 

③ 車椅子スペース×編成内9箇所
セミクロスシートの中間車(c#8502~8507)には
車椅子スペースが前と後ろの2箇所設置されていました。
リニューアルで他車と同じロングシートに変更されると宝塚側の1箇所のみとなります。

 

④ ベンチレータ
車両の屋根の端にあるベンチレータ(換気装置)は、
リニューアル済の車両や1000系では換気性能が向上したのか無くなっています。

 


 

以下は「8両編成の特急としては」見納めになるものの
能勢線内の4両編成や2両編成では一部残るものとなります。
 

⑤ 種別・行先表示幕
1000系や、リニューアル済の8000系ではフルカラーLEDになっています。
阪急型の表示幕装置自体は5108F・5142F・5124Fで見られますが、
「特急日生エクスプレス」の幕での営業運転は見納めになります。

 

⑥ 未更新床板
2000年頃から、全般重要部検査やリニューアル改造時に
傷んだ床板が更新される際には新しいデザインのものとなっています。
能勢対応車両では8005Fの大阪梅田側から3両目のc#8555にのみ
この旧型床板が残っていますが、リニューアルで消滅する見通しです。
能勢線内には1755Fのc#1755にのみ残存しているほか、阪急宝塚線でも5100系や6000系でわずかに残っています。

 

⑦ 原型クーラー
新造以来原型を保ってきた原型クーラー「RPU-3003」は2000年頃から、
全般重要部検査やリニューアル改造時に順次新しいものに交換されています。
能勢線内では1700系に残っています。
なお8005Fがリニューアルされると、阪急宝塚線での残りは能勢電鉄籍の6002Fのみとなります。

⇒ 2024/03:全般検査入場にて新しいものに更新されました。

 

⑧ 日除けのアルミ鎧戸
アルナ工機の「アルミのナニワ」の技術の粋が詰まった鎧戸ですが、
安全性への配慮等から1995年以降の新造車やリニューアル改造車では
フリーストップ式のロールカーテンに変更されています。
能勢線内では1700系に残っています。

 

⑨ 9人掛けロングシート
公式の資料やWikipedia等では、
ロングシート中間車の座席定員は「54名」と記載されています。
これを車内の座席配置に割り当てると、扉と扉の間の長いロングシートは「9人掛け」という計算になります。
8人でも精一杯、往々にして7人で埋まるあの座席が9人掛けなのはおかしい!!
1000系やリニューアル済みの車両では、このロングシートに

仕切りが設置されて「3+2+3」という8人掛けに改められています。
能勢線内ではロングシートに仕切りが無いため、1700系・7200系で9人掛けシートが見られます。
ちなみに5100系の少し幅が狭いロングシートは7人がギリギリ、

往々にして6人で埋まっていますが定員上は8人掛けです。

 

⑩ 扉開閉予告灯未設置
鉄道車両バリアフリー化の要件に含まれている「扉開閉予告灯」。
2000年頃から、新造車両やリニューアル改造車に順次設置されています。
能勢線内では1700系に残っています。

 

 

<その他の8005F車内ギャラリー>

 



実はまだ消えずに残るもの

① 車内案内表示LCD未設置
② 種別表示と前面標識灯の未連動
1000系や8007F・8006Fの車内には、
次駅案内や広告が表示される液晶パネルが各車両3か所に設置されています。
また終点に到着する前に種別が変更されると、標識灯の現示もそれにあわせて変わります。
しかし手抜き工事近年の半導体不足の影響か、
2023年にリニューアル施工された8004Fではこれらが設置されていません。
これらについては8005Fリニューアル入場後も残ることとなります。

 

③ その他、リニューアルでも存置されているもの
パワーウィンドウや編成の先頭にある能勢用の防護無線アンテナは、
リニューアルによる撤去の対象となっておらずリニューアル済の各編成でも引き続き見ることができます。

 



既に消えてしまったもの

① GTO-VVVFインバータ制御装置
8004Fや8005Fはリニューアルより前にVVVFインバータ制御装置が更新されていました。
そのため2021年11月に8006Fがリニューアルに入った時点で、
「阪急8000系といえばコレ!」ともいうべき存在だった
独特な東芝GTO-VVVFインバータ制御装置の駆動音は能勢線内では聴き納めになっていました。

 


 

② シールドビームの前照灯
シールドビーム(電球式)の前照灯(ヘッドライト)は、
2015~16年頃に8000系全車でLED式に交換されており現存しません。
能勢でも8000系と同じような四角いタイプのシールドビーム前照灯が
一部車両に搭載されましたが、1560Fの廃車と3170FのLED化によっていずれも残っていません。

(2013年11月撮影)

 



編集後記

残り時間はあとわずか。
悔いの無いように撮影・観察しましょう♪

 

 



その後――

2024年2月27日に入場してしまった8005F。

しかし今回はリニューアルではなく全般検査のみで、
原型顔のまま3月末に出場して運用復帰しています。

クーラーは他の8000系列と同様に更新されましたが、
その他の各機器はまだしばらく見ることができそうです。

 

 


(NOSE KNITs – のせでん沿線の魅力紹介WordPress)

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