【能勢電鉄】実質30年ぶりの運賃値上げへ……今後はどうなる??
能勢電鉄は、自社HPにて2024年9月20日に
翌年からの運賃値上げを申請したというニュースリリースを発表しました。
今回はこれについて要約・解説します。
目次
運賃値上げの概要
能勢電鉄株式会社は、2024年9月20日、
国土交通省近畿運輸局に鉄道旅客運賃の上限変更認可を申請しました。
運賃改定は2025年1月19日(日)に実施予定です。
暜通運賃は初乗りが160円から180円に、
それ以降の区間がそれぞれ30円ずつの値上げとなります。
どうして月初めじゃなく『19日』からなのか……?
公式発表などには無い俗説ですが、同日にOsaka Metroのコスモスクエア~夢洲間が開業するため、運賃表の更新の手間を一度で済ませられるメリットがあるようです。
<2024/10/01追記:>
神戸高速線の鉄道駅バリアフリー料金収受開始日も、同日となる2025年1月19日からになるようです。(⇒阪急リリースPDF)
運賃値上げの主な理由として、以下のものが挙げられています。
- 1995年をピークに輸送人員が減少し、特にコロナ禍で経営環境が悪化したこと
- 電気料金や資材価格の上昇
- 安全維持や設備更新(バリアフリー・自然災害対策)のため
近年の能勢電鉄では
1997年・2014年・2019年に
運賃が値上げされてきましたが、すべて消費税の増税に伴うものでした。
それ以外で『税抜価格』の運賃値上げを
最後に行ったのは1995年9月(阪急と同時)と考えられます。
<参考リンク>
運賃の推移と比較(阪急とJR西日本の1990年代) – 未確認"鉄道"研究室様
以下、1995年時点からの暜通運賃(消費税込)と、その税抜価格の推移の表を作成してみました。
一番右の「税別増加率(%)」は、1995年と2025年の税抜価格の比較です。
この図を見ると、物価が上がり続ける中、
いかに能勢電鉄さんが企業努力で運賃を据え置いてきたかが読み取れます。
(過去の資料によれば、他のローカル鉄道のような自治体からの補助金もほぼ無いそうです)
資料をさらに読み解く
今回の資料には、過去の経緯や
今後の推計・取り組みについても記載されています。
要は
『これだけ頑張ってきたけどやむを得ず値上げします』
という近年の実績紹介と、
『これからこんな施策のために値上げしないと路線維持できません!』
という意気込み半分・白旗半分の将来設計です。
趣味者目線のところは数多の有識者に委ねて、
利用者目線で読み解いていきます。
①定期券運賃
通勤定期券の割引率が引き下げられ、割高になります。
通勤定期券はだいたい勤務先が負担しているはずなので、これは仕方なしといったところ。
一方で、通学定期券は現在の運賃を据え置きとなっています。家計にやさしい!!
(詳細な値上げ額についてはリリース資料を参照)
あっ、筆者も勤務先に定期券代の変更申請を出さないと
②収支実績と推定
- 「2023年度の実績」
- 「2025~27年度の推定(現行運賃の場合)」
- 「2025~27年度の推定(新運賃の場合)」
がそれぞれ図示されています。
現行運賃のままだと年単位で営業損益が5倍ほどになる推計とのこと。
それを新運賃にすることで、2023年度の6~7割程度に抑えたい狙いのようです。
③輸送人員の推定
『輸送人員の推移と今後の見通し』という項目にも注目です。
年間の輸送人員は、
コロナ禍から回復した2023年度をピークに
緩やかな右肩下がりになる予想のよう。
とはいっても、2027年度推定でも
2022年度実績よりは多いので、
そんなに急な減便ダイヤ改正は考えにくいと思われます。
④これまでの&今後の取り組み
「これまでの取り組み」では、
今までのワンマン化や各種コスト削減について記載されています。
「今後の取り組み」では、
バリアフリー化や老朽化した車両、設備の更新に
いくらかかるといった試算が記載されています。
2025年度までに車両のリニューアルを完了、
と考えると、残り2編成の1700系は2025年度末までには引退でしょうか……涙
そして車両のリニューアルにかかる金額が
約8億とんで20万円って……
冷房更新や廃車費用も含まれてると思われますが、
7200系の導入ってすごくお金かかってる……新車買うよりは安いんだけどさ。。。
⑤運賃の多様化
お得なきっぷ(企画乗車券)
⇒京都や奈良など、お出かけのきっかけになってて良い。
⇒妙見の森フリーパスに代わる能勢線内の1日乗車券発売が待たれます。
IC乗車券ご利用による割引(PiTaPa・ICOCA)
⇒あえてこれを実績に入れるか。回数券カムバック……!!
精神障害者割引の導入
⇒同日にリリースされた内容ですが、実際に利用できる人はごくわずか。
⇒101km以上旅行するときに限りって、どうやって能勢線内で101km以上も旅行するのか……
⑥豊能町はさらなる冷や飯
最後に、これは今回のニュースリリースの内容ではないのですがコチラを紹介します。
2022年12月のダイヤ改正で
川西能勢口~妙見口の直通列車がほぼ無くなり、
山下駅での乗り換えをほぼ毎回強いられるようになった笹部・光風台・ときわ台・妙見口の各駅。
当然、各駅の沿線住民は猛反発し、
豊能町議会から能勢電鉄に対して要望書のやり取りなどが行われました。
(当時とは豊能町長も能勢電鉄の社長も代わってしまいましたが……)
以前の記事(2023/10)
さて、この中に興味深い、
というより今このタイミングだと看過できないワードが登場しています。
そのワードは以下に。
とよの議会だより 145号(PDF)最終ページより
『運賃の値上げは最終手段と考えており、ダイヤ改正となった。』
みなさんいかがでしょうか。
最終手段に踏み切るの早すぎません??
妙見の森を廃止してまで経費を圧縮しようとしているのはまあ、わかるのですが……
値上げしないために乗り換えを強制したということなら、
やっぱり値上げするんだったら川西能勢口~妙見口の直通便をある程度復活してよ、という気持ちが。。。。
編集後記
というわけで、
賛成なのか反対なのかどっちやねん!
みたいな内容になってしまいましたが、
概ねリリースから事実に即した内容をお届けいたしました。
値上げの直前に定期券の買い替え時期がやってくる筆者は勝ち組。
(NOSE KNITs – のせでん沿線の魅力紹介WordPress)
【直近の鉄道イベント情報】
(Tetsudo.comより)
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