【コラム】のせでんの最古参車両「1700系」は何がそんなにスゴイのか?(※電車に詳しくない人向け)

目次
前置き
2026年夏。
最近とみに能勢電鉄の各駅や沿線に、
撮影者さんたちが急増しています。
2026年内(?)の引退が迫る最古参形式
「1700系」をお目当てに、
いま全国から能勢電鉄に鉄道ファンがやってきています。
近畿で最も熱い鉄道スポットのひとつになっているのです。
今回は、
「電車なんてどれもいっしょやん?」
「ゆうて阪急のお古やん?」
といった鉄道に詳しくない方に向けて、
その魅力を紐解いてみたいと思います。
「そんなスゴイ電車やったんか」
「ちょっと意識して乗ってみようかな」
といった感想になれば幸いです。
(※注:鉄道マニア諸氏にとっては既に知ってる内容だらけです)
概要
のせでんの車両といえば、
「新しく見えても阪急のお下がり。」
「最新型でも実は昭和生まれ。」
「(もっと端的に)オンボロ。」
そんなイメージをお持ちの方も多いはず。
しかしそのオンボロを目当てに、
目下、たくさんの鉄道ファンが全国から乗車や撮影に訪れています。
鉄道ファンが特に狙っているのが、
最古参「1700系」の最後の1編成。
2026年度中の引退が発表されており、
遠方からも多数の鉄道ファンが名残り訪問に来られています。


日々のせでんに乗っている方だと
「撮り鉄じゃまやなー」
「またカメラ小僧おるわ」
「電車を撮るのはいいけど私を撮らないで」
などと思われている方もおられそうですが……
他の趣味に置き換えれば、
「あの観光地に一度は行ってみたい!」
「あのチームの試合を一度生で観戦してみたい!」
「解散直前のあのグループのライブを一度は現地で!」
といった感情の電車バージョンだと想像いただければいいかもしれません。
では、どうスゴイのか?
ぜひ続きをご覧ください。
スゴイ1:とにかく古い!ヴィンテージな昭和レトロど真ん中
地元の人向けに一言でいうと、
「今でも日々通勤・通学客を乗せて走っている電車としては、とんでもなく高齢だから」
というのが、能勢電鉄1700系に全国の鉄道ファンが集まる最大の理由です。
能勢電鉄1700系は元々、
1960~63年に阪急電鉄で作られた「阪急2000系」という電車です。
1990~92年に能勢電鉄へ移籍し、1700系として第二の人生を送ってきました。
昭和30年代生まれで還暦を超える「ベテラン中のベテラン」です。
最後まで残っている1757F(1757編成車)は
先頭車が1962年製(昭和37年製)。
2026年時点で約64歳になります。
鉄道会社によって差はありますが、
一般的な通勤電車は30~50年で引退することが多いので、1700系はかなりの長寿選手。
人間の年齢や寿命に例えると分かりやすいでしょう。
(※新幹線だと走行距離がすごいので、15年そこらで引退することも珍しくありません。)
地元民から見れば「いつもの電車」ですが、
鉄道ファンから見ると「まだ走ってたの!?」という博物館級のレベルなのです。
骨董品というと言い過ぎですが、ヴィンテージと呼ぶには充分。
(※骨董品には「100年以上」という定義があるらしい)
能勢電鉄公式でも2020年以降「Legend」という愛称が付けられています。
そしてそんな博物館級のLegendが、
行き届いた整備によって大きな故障もなく日々の通勤通学の足になっている。
昭和37年式のクラシックカーが、
今でもほぼ毎日スーパーへの買い物に使われているようなものなのです。
そんな昭和レトロな雰囲気が、
昭和生まれの阪急ファンからZ世代まで広く親しまれている要因です。
「4両編成以上で還暦(60歳)を超えて現役」なのは、能勢電鉄1700系が国内最長寿。2026年時点で、国内で他には南海と東武しか例がありません。
<参考リンク>
【コラム】のせでん1700系を超える『レジェンド』を保有する鉄道会社は日本にどのぐらいあるのか?
(当サイト内記事、のせでんより古い車両がいる鉄道会社はわずか!)
技術的にもヴィンテージ
1700系の元になった阪急2000系が
登場した当時(1960年代)は、最新鋭の技術の粋が詰まった電車でした。
最先端の制御方式から「人工頭脳電車」や「オートカー」とも呼ばれていました。
当時はその技術によって、
栄えある『第1回ローレル賞』を受賞。
ローレル賞とは?
鉄道友の会(国内最大の鉄道愛好者団体)が1961年に制定した、日本の鉄道車両に与えられる賞。ブルーリボン賞とともに、前年に日本国内で営業運転を開始した新造車両または改造車両の形式を対象として選定される。選定は2026年現在も毎年行われている。
⇒ ローレル賞 – Wikipedia
ローレル賞が何か知らなくても、
「なんか凄そうな賞の第1回を受賞してる」
というだけでも、なんか凄い電車だったんだなと思っていただければ十分です。
昇圧で人工頭脳の部分が使用終了したり、
能勢電ではワンマン改造を受けたり、
多少の改造はありましたが、大枠の部分は現在もそのまま。
たとえるなら、
「1960年代のハイテク家電が、改良を重ねながら今も現役」
といった存在になっています。
スゴイ2:もうここでしか見られない/聞けないだらけ
阪急電鉄のお下がりということは、
顔立ちも昔の古い阪急電車に似ているということ。
昔の表示幕の無かった頃の面影を残す
1700系の顔立ちは、昭和からの阪急ファン垂涎もの。
能勢に来る際に表示幕が付いたり、
近年では野生動物除けにスカートが付いたりしましたが、誤差の範囲です。
また音の方でも、
「死ぬほど情けないコンプレッサー」
などと揶揄されてきた『D-3-NHA』コンプレッサーが聴けるのは全国でもここだけ!!
— nirvash@Nose KNITs (@FR_nirvash) September 2, 2026
同じメーカー(現在のナブテスコや、輸入元ウェスティングハウス・エレクトリック社)による「D-3-●●」シリーズは、近鉄や大井川鐡道にわずかに残っているとか。
しかしNHAの「H」は阪急向けを示すらしく、全く同じ音は他では聴けません。
また制御方式は5100系と同じですが、
モーターの型番は異なり、現在のモーター音は1700系のみとなっています。
<参考リンク>
不定期特集 くるり岸田繁「電車の花道」第一回:阪急2300系|くるり official
能勢電鉄1700系電車 – Wikipedia
スゴイ3:沿線住民の人生を運んできた思い出
これは遠方の方というよりも
沿線にお住まいの方や、沿線で育った方向けですが。
1990年代、2000年代、2010年代。
ここまでお読み頂いた方で、
この期間に「のせでん」に乗って
通勤通学されていた方はどれぐらいおられるでしょうか。
その生活のそばで、
雨の日も、風の日も、台風や雪の日も。
陰ながら、1700系はずっと走り続けてきました。
今でこそ最後の1本になったことで
にわかに脚光を浴びていますが、
1700系は1990年からずっと「そこにいた」んです。
青春を乗せて。朱夏を乗せて。
当たり前ですが人それぞれ思い出は異なります。
しかしその思い出の中に
「のせでんに乗って日常的に移動していた」
というものがあるなら、
1700系はその日常の中であなたを乗せて運んでくれていたことでしょう。
筆者はまだ生まれる前ですが、
1960~80年代の阪急時代を知る方であればさらにお世話になっていたかも……?
時代の流れで新車が入って来て、
1700系の相方1500系が先に能勢電を去り、
減便もあり1本また1本と数を減らして、
いよいよ1700系も最後の1本。
数十年の永い時を経て使っていた
服や家電や車を手放すときのように、
心の中で「おつかれさま」と花束を贈る日がすぐそこまで迫っています。
ちなみに筆者の場合は最後まで残った1757Fを初めて見たのは
懐かしの「のせでんスイミングスクール多田」のプールサイドでした。
そこから塾通いや通学や通勤の足として、1700系に乗った回数はもはや数知れません。
編集後記
「そんなスゴイ電車やったんか」
「ちょっと意識して乗ってみようかな」
といった感想になっていれば……!
ちなみに冒頭の
「電車を撮るのはいいけど私を撮らないで」
とお考えの方は、しばらくの間ご辛抱ください。
カメラを向けられていると気付いたら顔をそむける、
電車の一番前には乗るのを避ける、
といった自衛が残念ながらしばらく必要です。
関連リンク
- Legend1757|ファンページ(能勢電鉄HP)
- 鉄道車両紀行:愛された「ポコポコ」音 まもなく卒業、能勢電鉄1700系 | 毎日新聞(2026/05)
- 当サイト内記事
(NOSE KNITs – のせでん沿線の魅力紹介WordPress)
【直近の鉄道イベント情報】
(Tetsudo.comより)
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