【豊能町】2022年12月の能勢電鉄ダイヤ改正をめぐる町中心部の動き

能勢電ニュース,豊能町

目次


前置き

2022年12月のダイヤ改正によって、山下~妙見口の間では
ほぼ全ての列車で山下駅での乗り換えが必要となり、
利用者目線でも大変な不便を強いられています。

豊能町としては黙っていられる話ではなく、
議会などでも公共交通の専門委員会を作って議論したり、
自治体として能勢電鉄さんに訪問して交渉したりされているようです。

今回はそのような豊能町の活動を紹介します。

 



ダイヤ改正前の経緯

議会資料などを読んでいると、あるとき突然
「ダイヤ変えるから。直通ほぼ無くすから。よろしく」
となったように読み取れるような上層部の豹変ぶりが見て取れます。
(豊能町側の連携不備も一部みられますが・・・)

  • 2022/06頃
    • 豊能町の塩川町長(当時)と能勢電鉄の定例会
    • 5月は単月では黒字になったが、コロナ禍で減少した定期利用者分の収入をどうするか、沿線の活性化のためにどうするかといった意見交換
      (この時点ではダイヤ改正の話は1mmも出ていなかった)
  • 2022/09/09
    • 能勢電鉄側が豊能町役場に来庁
    • 公共交通の担当課にダイヤ改正の予定を伝達
      (この時点で、既に決まった内容の報告といった口調)
  • 2022/09/30
    • 担当課から塩川町長(当時)に伝達
      (担当者から町長の耳に入るまでに半月以上を要している)
  • 2022/10/12
  • 2022/10/28
    • 豊能町議会の全員協議会で、これまでの町の対応について説明を要求
  • 2022/10/31
    • 能勢電鉄側が豊能町役場に来庁し説明
  • 2022/11/25
    • 住民団体「豊能町を共に創る会」が、
      ダイヤ改正にともなう山下駅での乗り換えに関する要望書を能勢電鉄に提出
  • 2022/12/17
    • 能勢電鉄のダイヤ改正施行

 



ダイヤ改正後の活動

ダイヤ改正後、「元に戻せ!」は無理でも
ああすれば、こうすれば町民の利便が向上する、
といった案をまとめて議会側から能勢電鉄側に要望書が提出されています。

  • 2022/12/17
    • 能勢電鉄のダイヤ改正施行
  • 2022/12/19
    • 能勢電鉄から先述の住民団体「豊能町を共に創る会」へ要望書の回答が届く
      (この時点ではまるで相手にされていない、ご理解くださいな内容)
  • 2022/12/27
    • 豊能町議会内に、交通特別委員会が設置される
      • 能勢電鉄のダイヤ改正だけでなく、
        AIオンデマンド交通(HANI+)も含む町内の公共交通全般についての議論を行うため
  • 2023/01/初旬
    • 能勢電鉄側が豊能町役場に来庁
  • 2023/01/13
    • 交通特別委員会を開催 (第1回)
    • <理事者側から以下の内容を確認>
      • ダイヤ改正に至る経緯
      • 行政側の対応
  • 2023/02/14
    • 任期満了に伴う豊能町長選挙が告示
      • 塩川町長(当時)は体調不良を理由に再出馬せず、後任となる上浦氏が無投票当選
  • 2023/02/15
    • 特別委員会の代表が能勢電鉄本社を訪問
    • <能勢電鉄の社長との懇談でのおもな内容>
      • ダイヤ改正に至った要因説明を受ける
        *コロナの影響により売り上げがダウン。 2年連続の赤字。
        *ピーク時の半数近くまで乗車人数が減少。 11月頃から以前の85%まで回復したが、その後は回復せず。
        *運賃の値上げは最終手段と考えており、ダイヤ改正となった。
  • 2023/04/18
    • 上浦町長(新)が能勢電鉄を初訪問
    • 能勢電と豊能町は運命共同体で、
      日中でも妙見口に来てもらえるような方策を考えているところだとの旨を話す
  • 2023/04/24
    • 交通特別委員会を開催 (第2回)
    • 能勢電鉄への要望事項を協議
  • 2023/06/09
    • 能勢電鉄の株主総会で社長が交代
  • 2023/06/12
    • 交通特別委員会を開催 (第3回)
  • 2023/06/23
    • 能勢電鉄が妙見の森関連事業の廃止を発表(関連記事
      • (本件とは無関係だが、社長交代とタイミングが……)
  • 2023/07/07
    • 取りまとめられた要望事項を能勢電鉄へ本提出
  • 2023/09/01
    • 07/07に提出された要望書の回答が豊能町に届く(後述)
       
出典:とよの議会だより第146号 P9

 



要望書について

住民へのヒアリングなどをもとに
第2回の交通特別委員会で素案が出たものを5点にまとめておられます。

青字はコスト面、技術面等を踏まえ、実際に考慮可能なものか
事前に能勢電鉄さんに確認された回答結果とのこと。

①番、山下駅にエスカレーターを設置する。
⇒工事費が約3億円、ランニングで年間約300万円かかり、費用的に困難である。

②番、下りについて一旦1番線から2番線に入り、2番線から戻る方法に変更する。
⇒分岐(ポイント)の2か所設置が必要。
 また遠隔(指令所)の改修も必要で、3億円弱かかるということでこれも費用面で困難である。

③番、平野駅で折り返し運転(乗換)とし、妙見口駅、平野駅間と直通便とする。
⇒この方法は上りしかできず、下りについては待避場所が無い。
 下りを畦野駅乗り換えにするにしても、車両や乗務員も増やさないと実現できない。

④番、下りの乗り継ぎ3分間の間隔をより長く要望する。
⇒待ち時間が長くなり、この3分間隔で乗り降りできる人については逆に不便になる。

⑤番、朝夕の直通便の何便かを妙見線にできないか。また、昼間20分間隔で直通便にしてはどうか。
⇒直通便は、何かを犠牲にしないと、何かをやめないといけない。
 (「何か」の部分については不明)
⇒また昼間の20分ピッチについては、山下~日生中央の方もそうしないと実現できない。

その他
⇒売上はコロナ前の9割程度に落ち込んでいる。
⇒昨年度は1億円の黒字が出たが、改修等をしなかった、先延ばししたからそうなっただけとのこと。
⇒電気代の高騰が響いており、電気代だけでも3~4千万の増になっているとのこと。

 



③の実現可能性について

第3回の交通特別委員会では、
(議事録からは文章しか読み取れませんが)
議員さんが鉄道のダイヤグラムを使って
③の「妙見口~平野」直通の概要について説明されたようです。

実際のものは読み取れませんが、
当サイトでも真似をして妙見口~平野直通のダイヤグラムを組んでみました。

※OudiaSecond V2で作成

だいたいこんな感じ。
光風台と山下の離合タイミングの制約があるため、
川西能勢口~日生中央の直通列車の時刻は10分間隔のまま
現状より少しずらしています。

結果、平野(下り畦野)での乗り換え時間は3~4分必要で、
乗り換えの利便性は向上するものの所要時間は増加します。

なんといっても、妙見口~平野直通の車両が
現行の2編成に対して4編成必要になります。
(当然、そのぶんの乗務員追加も必要です。)

筆者個人の感想としては、
ここまでするなら前ダイヤのままで良かったでしょ……
というところ。
それより平日夜の川西能勢口の乗り換え時間の少なさと山下の乗り換え時間の長さのバランスを改善してくだしあ。

 

また、⑤の
「20分間隔で直通にする案は、
 山下~日生中央の方もそうしないと実現できない」
については、おそらく下図のように
山下以北が20分間隔になって連絡が無くなる
1997年以前のダイヤに戻せば可能、という意味ではないかと思われます。

(※コロナ禍の緊急事態宣言下あったように2連の運用を廃止)
(※4連が6本に戻るが、日中の実働車両は24両となり現状と同じ。
  5142と5124にフックが付いたのはまさか……? いやまさかな。

 



編集後記

要望書の結果については今後発表とのこと。

事前の回答結果と同じでしょ……
などと悲観せず、建設的な回答を期待しましょう。

 



要望書の回答について(10/30追記)

とよの議会だより147号(PDF)にて、
9月1日に要望書の回答があった旨の報告がありました。

まぁ、うん、・・・・・・

また、(以降:12/07追記)

(09/13 交通特別委員会 議事録より)

③の「平野駅で折り返し運転」については
車両と乗務員が足りないから不可、ではなく
『現行の車両数と乗務員数では運行間隔が広がり利便性が著しく損なわれる』
という回答になっています。
また「ダイヤ改正の作成だけで数千万円」かかるという記載があります。

④の「乗り継ぎ時間の増加対応」については、
『単線区間のため、上り下りいずれか一方の乗り継ぎ時間を変更した場合、もう一方の乗り継ぎ時間にも影響』
『仮に山下駅での妙見口方面への乗り継ぎ時間を現行以上に確保した場合、川西能勢口方面への乗り継ぎ時間が大幅に増加することになり、利便性が損なわれますが、笹部~妙見口駅を御利用のお客様の総意として御理解いただけるのであれば、実現可能な御要望である』
とのことです。
このへんは今後の検討課題かもしれません。

また、直接的に各要望に応えることは難しいものの、
川西市、猪名川町、豊能町と能勢電鉄で、
まちづくり・賑わいづくり、どういうことをしていくか?
ということを考えながら公共交通の将来あるべき姿を描いて、
それを実現するために、一緒にどうしていくかというものを
今後検討・意見交換するための連絡会を作る構想があるとのことです。
このあたりは親会社に縛られる領域では無いため、しっかり取り組んでいって欲しいところです。

 



情報源・関連リンク

<各資料ソース>

令和5年豊能町議会

<その他>

 

 

 


(NOSE KNITs – のせでん沿線の魅力紹介WordPress)

 ※本ページには各種Web広告を設置していません。

鉄道コム


【直近の鉄道イベント情報】

Tetsudo.comより)


 

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