【コラム】大阪・関西万博にある「能勢電っぽい椅子」はどのぐらい能勢電っぽいのか？
目次
前置き
2025年4月13日に開幕してから早2か月、
連日大賑わいの大阪・関西万博。
その会場内に
『どう見ても能勢電3100系っぽい椅子がある』
という複数の目撃情報が。
＜のせでん3100系（3170F）とは？＞
※復習
1996年末に阪急を引退後、
リニューアル工事を受けて1997年秋に能勢電鉄のエースとして増備された車両。
白い壁に青い座席モケットの、およそ阪急らしからぬ車内デザインが唯一無二の特徴だった。
1編成だけの存在だったため保守部品の枯渇がネックとなり、2021年に惜しまれながら引退。
広い万博会場内のどこにあるのか？
そして、ホントに能勢電3100系の椅子なのか？
今回はその謎を調査します！！
どこにあるのか？
目撃された方にたずねてみたところ、
かの有名な『石黒館』にあるとの回答を頂きました。
は、日本のロボット工学の第一人者である
石黒浩教授がプロデューサーを務める、今回の万博の目玉の一つ。
そしてあの（あの）
阪急阪神ホールディングス株式会社が、
協賛の
これはもしかして、ワンチャンあるのでは！？
行ってみるしかない！！
いざ実地調査
元から万博に行く予定はあったのですが、
いざ石黒館へ行こう！となっても、
なかなか予約が取れない・・・
※人気のパビリオンは
2ヶ月前抽選・7日前抽選・3日前先着申込など
何度かチャンスがありますが
6月の3回目の万博訪問時にも諦めていたら……
17時過ぎに突如、空き先着枠が大量発生……ッ！！
チケット予約サイトと四六時中睨めっこしていた甲斐がありました。
というわけで、いざ出陣です。
（もちろん電車だけが目当てなわけではなく、パビリオンの最新技術も楽しみ）
当パビリオンについて（パビリオン公式サイト）
のページを見てみても、
確かにこの青いシートは能勢電3100系……！！
https://expo2025future-of-life.com/assets/img/v3/about/areamap@2x.jpg
https://expo2025future-of-life.com/assets/img/v3/about/zone2-4@2x.jpg
期待を膨らませながら、
（パビリオンの展示内容に集中しなさい）
予約した時間がやってきました。
このパビリオンでは15分ずつに区切って、
各20名ほどでまとまって部屋から部屋へと移動していくスタイル。
それゆえ定員が他のパビリオンと比べて極端に少なく、予約が取りづらくなっているのです。
ZONE 1 の最初の部屋では、鑑賞上の注意や
レンタルのヘッドホン端末の使い方説明。展示品には触れちゃいけないけど電車のシートに触れちゃいけないとは言われなかったゾ
次の部屋では、
土偶、埴輪、仏像、能面、文楽人形、
そしてアンドロイド……と、太古の昔から人類が偶像を造ってきた歴史を振り返ります。
エスカレータで2階に上がってからは ZONE 2 。 『2075年の、ある人生』という、 あらすじを超概説でネタバレすると、 その2番目の部屋で、まだ幼い少女を連れて ・・・ ・・・ 出た～っ！！！！ 電車の部屋に案内された約20名の観客は、 座り心地は……？ 合格！！ などと、物語を追いながら 確かにパッと見は しかし待ってください。 ※オマケ： 映像が終わって次の部屋へと誘導される瞬間、 万博入場時の手荷物検査をもすり抜けたその暗器とは……定規。 たとえざっくりでも、1か所だけでも、 ちなみに事前情報で話題になっていた、 そこで何を感じることになるのか…… 2025年の現実に帰って来てから、 それを3100系の実車と比較してみると…… ※さすがに3100系がまだ現役の時代に 導き出される結論は、 その図解がこちらです。 石黒館の電車の部屋にあったのは、 対して実車の3170Fは、 また3170Fは引退時に ※本記事をご覧頂いた方のコメントには、 ※実際は本記事の前半で紹介した公式サイトは というわけで能勢電のものではない、 阪急阪神HDがシルバーパートナーとはいえ それをせずにあえて 『阪急3300系や5000系のリニューアル車の廃車発生品を使用し、緑のままだとあまりに阪急っぽすぎるのでモケットだけ青に変更した』 あたりの線が、正解に最も近いのではないかと考えられます。 袖仕切りがほぼ同じ形状のものだと たとえばこれが北大阪急行8000系だと、 (※)＜1984～2007年頃に新製または更新＞ 万博はあと4ヶ月弱。 今回フォーカスした石黒館もいいけど、 「しょ～もなかったわ～」でもいいんです。 （Tetsudo.comより） ★ 3,814 ビュー ★
ここからがパビリオンのメイン展示です。
今から50年後を舞台とする少女と祖母の物語を追体験していきます。
テクノロジーが高度に発達し、人間がアンドロイドと共存する時代。
自然に死んでいくのか、アンドロイドに記憶を移して生き続けるのか……
年老いた祖母が選んだ結末は……！？
みたいな内容です。
解釈や考え方は見る人それぞれ。最終的な正解は存在しません。
2人が夢洲駅へと電車で移動するシーンが登場します。
外観を眺める
実際に電車の座席に座って映像を観ることになります。
（※音声はヘッドホンから流れるため、動画を撮影しても無音）
手触りは……？ ちょっと
筆者だけがしょーもない調査をするの図。
4年も前に引退した電車の廃車発生品を
万博のために4年も取っておくでしょうか？
2025年6月にOsaka Metroは中央線の車内アナウンスが更新。
音声でも、もう現実とのズレが生じてしまっています……。
採寸！！
筆者だけが鞄の中から暗器を取り出します。
長さを計っておくことができれば後で実車との比較が可能になるからです。
袖仕切りの縦が大体32～34cmぐらいというデータを得て、次の部屋へ強制的に進みます。
マツコロイド等の多数のアンドロイドが登場するのは、電車の部屋から3つ先になっています。
そして最後に見ることになる ZONE 3 のテーマは
「1000年後の世界」。
ぜひ皆さん自身でお確かめください！！
写真からサイズを推測
撮った写真や採寸したデータより
ざっくり座席定員を割り出してみます。
撮ってなかったようなカットは、車内デザインを
専門に扱うStyle様のデータを参考にしています。
⇒能勢電鉄3100系 車内デザイン | Style -Train Graphics-様
『石黒館の電車のシートは、能勢電鉄3100系の廃車発生品ではない』
ということになりました。
3人掛けシートが6セット。
そして長い7人(ぐらい)掛けシートが2セットです。
（Style様のデータも見るに）
3人掛けシートが乗務員室のすぐ後ろの合計4セットしか用意できないのです。
座席のシートはほとんど廃棄処分済みと考えられます。
（陸送時にシートが残っていたのを筆者も目撃しているほか、
1754や1756のような座席モケットを使ったグッズが出てない）
実車の3100系とは青の色味が違う、というものも。
（言われてみれば実車の方が少し青が濃い）
光の当たり具合や経年劣化で変色があったとしても
全てのシートを3100系の発生品で賄うのは不可能そうです。
後から見つけたもので、先に見ていたら
万博に行くまでもなく答えが出せていました。ﾃﾍﾍﾟﾛ
ではあのシートはどこから？
という結論になったわけですが、ではどこから持ってきた座席なのか？？
万博のためにわざわざ新製するなら、
もっと最新の電車と同じ意匠のものを使うでしょう。
（大阪メトロ400系とか、阪急なら新2300系とか）
1984～2007年頃に新製または更新(※)された、
古すぎず新しすぎない阪急電車の座席を……？
と考えていくと、
どうやって青にしたのか？と言われれば、優先座席を赤くした前例がありますし……
（※または改造に使われなかった予備品か……
正解を知っているわけではないので、考察はここまでです。）
『北神急行電鉄7000系の廃車発生品』説もありますが
袖仕切りの外側がマホガニー化粧板だったり、
3人掛けの座席が無いため可能性としては低そう……？
袖仕切りの形状はとても似ていますが、
高さが現地で採寸したサイズと異なっており「×」という判定に。
（実車で計測したところ約40cmありました）
（こちらもStyle -Train Graphics-様の記事を参考に考察しています）
新造車：7000系アルミ車・7300系アルミ車・8000系・8300系
（8200系は座席収納だったため異なる）
更新車：3300系・5000系・5100系・5300系・6000系の一部リニューアル車
（6300系・7000系は若干意匠が異なる）
編集後記
万博そのもののあの雰囲気をまだ味わっていない方はぜひ一度。
生きてる間にまた近所に来るかわからない、
そんな万博に行かずに後悔よりは、行って後悔してみてほしいなと思います。
関連リンク
石黒浩・シグネチャーパビリオン「いのちの未来」
（NOSE KNITs – のせでん沿線の魅力紹介WordPress）
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