【能勢電鉄 決算報告】消えた4.5億円の謎

能勢電ニュース

目次


前置き

毎年6月中旬ごろに、能勢電鉄HP内では更新情報に載らない、
人知れず更新されるページがあります。

それは会社情報内の『決算報告』のページ。

決算報告|会社情報|のせでん【能勢電鉄】

このページに、2022年6月の株主総会前後に追加されたと思われるページが

▶ 第169期(2021年4月1日から2022年3月31日まで)貸借対照表及び損益計算書(PDF)

となります。

(能勢電鉄は非上場で株式の98.5%を親会社の阪急電鉄が保有しているため、株主総会は非公開)



内容を読み進める

さて、こちらの内容を拝見してみると・・・

1ページ目の『貸借対照表』には、

  • 借方に「資産」(流動資産、固定資産)
  • 貸方の上部に「負債」(流動負債、固定負債)
  • 貸方の下部に「資本」

について記載されています。

大学や専門学校などで簿記をかじったことのある方なら、だいたい読めると思います。
」がついている金額はマイナスです。

 

次に2ページ目の『損益計算書』には、
部門ごとの利益と損失について記載されています。

こちらも簿記をかじったことのある方なら、だいたい読めると思います。

その中に、前年までには無かった気になる項目が・・・

『減損損失 450,359 千円』

なんじゃこりゃぁ!?!?

さらっと、4億5035万円もの減損があったと記載されているのです。

このページの最終行まで読むと、
最終的な2021年度の当期純損失は「315,489千円」とあります。

要は、年間の最終赤字が3億1548万円ということです。

引き算をすると、この4億5035万円の減損さえ無ければ
コロナ禍にもかかわらず黒字だったということになります。

また、過去の損益計算書を遡って見てみると、
この減損損失という名前の科目は2014年度を最後に登場していません。

 

能勢電鉄さんは何故、このタイミングで、
これほどの減損損失を計上しなければならなかったのか??

続きのページを読み進めていきましょう。

 



減損損失の正体

3ページ目は『株主資本等変動計算書』

1ページ目の資本やその価値の増減について、詳細にまとめられています。

 

4ページ目以降が個別注記表(各項目の補足説明)となっています。

こちらを読み進めていくと・・・

(「繰延税金資産」が一瞬「絹延橋金資産」に空目したのは内緒です)

7~8ページ目にかけて、
損益計算書に関する注記がありました。
その中にちゃんと、減損損失に関する解説もありました。

ここから実際の資料より抜粋です。

6.損益計算書に関する注記
(3)減損損失
①減損損失を認識した資産
 区分:妙見3事業
 内容:鋼索線、索道線、バーベキュー施設等
 種類:建物、構築物、機械装置等
 場所:兵庫県川西市

②資産のグルーピングの方法
当社は、管理会計上の区分ごとに資産のグルーピングを行っております。

③減損損失を認識するに至った経緯
収益性の低下により投資額の回収が見込めないため、減損損失を認識しております。

④減損損失の金額
 土 地         10,981千円
 建 物         99,657千円
 構築物       199,729千円
 車 両         11,556千円
 機械装置      113,620千円
 工具器具備品      12,271千円
 無形固定資産       2,540千円
     計     450,359千円

⑤回収可能額の算定方法
土地については、正味売却価額で算定する方法によっており、正味売却価額は固定資産税評価額を基礎とし、合理的に算出した価額により評価しております。
その他の資産については、回収可能性が認められないため、その帳簿価額を備忘価額まで減額しております。

引用元: 第169期(2021年4月1日から2022年3月31日まで)貸借対照表及び損益計算書

(抜粋ここまで)

 

これを見るに、(コロナ禍もあいまって)
妙見の森の赤字がそこまで膨らんでいたということになります。

土地の価額については単純に地価が下がったということですが、
それ以外の「建物・構築物・車両・機械装置・工具器具備品・無形固定資産」については、
鋼索線(ケーブル)、索道線(リフト)、バーベキュー施設等の資産価値がそれぞれほぼゼロに近い値まで目減りされたということになります。

帳簿上、0円にすると扱いがややこしくなるため、
備忘価額すなわち1円とか10円とかの扱いにされた

資産が数多くあると考えられます。

また、車両や構築物などには、昨年度限りで営業を終了した「シグナス森林鉄道」「森のカフェあじさい」等を放棄した分の価額も含まれると考えられます。

シグナス森林鉄道については、再出発を目指して
別のある場所で車両と一部の線路が保管されているという情報がありますが、
既に能勢電鉄さんの資産ではなくなっていると思われます。

 



ちなみに2014年度は

ちなみに、前回の2014年度の減損損失(2446.5万円)は以下の内容となっていました。

  • 用途:駅施設
  • 場所:川西市
  • 種類:建設仮勘定
  • 減損損失:24,465千円
  • 備考:駅施設については、工事継続を断念したことに伴い減損損失を計上しております。

(この時期に工事しようとして断念した駅施設とはいったい……?)

 



編集後記

みんなで妙見の森フリーパスを買って、妙見の森へ遊びに行きましょう!!

(のせでんの定期券利用者でも、
 妙見の森フリーパスを使えばケーブルとリフトを往復するだけで元が取れます
 収益可能性が認められれば資産価値が復活するチャンスも・・・)

 


(NOSE KNITs – のせでん沿線の魅力紹介WordPress)

 ※本ページには各種Web広告を設置していません。

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Tetsudo.comより)


 

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