【能勢町】阪急バス妙見口能勢線が廃止・路線タクシーに転換へ

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目次


前置き

能勢町では、地域公共交通会議を定期的に開催して
人口減少によるバス利用者減・赤字補填について議論されていました。
※現行では、阪急バスの赤字分を能勢町が「地方バス路線維持費補助金」として全額負担しています。

そして2024年度より、
利用者の減少及びバス事業者の乗務員不足の影響で、
能勢町東地区を走る妙見口能勢線を路線タクシーに転換されるとのことです。

<2024/02/28追記:>
詳細が記載された能勢町地域公共交通ガイドブック(PDF)が公開されました。
新しい路線タクシーは『妙見口のせ号』という名称になるそうです。

また能勢町西地区の阪急バスが届かない地域で
実証運行されていた乗合タクシーは本格運行するとのことです。

 

<参考リンク>

左は奥田橋方面ゆき、右は東ときわ台循環便。いずれも過去のものになろうとしている。
(2022年6月撮影)

 



現状(転換前)について

(出典:妙見口能勢線見直しに係る運行実施計画案(PDF))

上記の能勢町HP内の出典資料によると、
それぞれ以下のようなデータが出ています。

 

利用者数について:

2010年度をピークに減少し、
2011~2019年度にかけては横ばい傾向。
2020年度は、コロナ禍により前年度の6割程度まで減少。
2021年度以降は、平日のみの運行に変更したことと、
コロナ禍の残りや新しい生活様式による行動変化等によってさらに減少しています。

また出典資料では運行便別の利用者数も記載されており、
現在のバス車両では定員59人に対して利用者が概ね5人前後となっていると指摘されています。

 

地方バス路線維持費補助金について:

阪急バスの運行経費の赤字分を能勢町が全額負担して運行されています。
こちらも2011~2020年度で徐々に右肩上がりでした。
2021年度のダイヤ改正で減便&平日のみの運行に変更したものの、
町が年間約1300万円を負担している現状です。

※詳細なグラフは出典資料のP3を参照

 



転換される区間の詳細

基本的な路線図としては、
現状(転換前)の妙見口能勢線とほぼ同じです。

しかし能勢町の、能勢町による、
能勢町の人のためのバスになることから、
妙見口駅以外はすべて能勢町域のバス停になるとともに、
能勢町民または能勢町への通勤・通学者のみ利用可能に変わります。

つまり、川西市域にある
「ケーブル黒川駅」「黒川」
は廃止となります。
(ついでに廃止区間にある「保育所前」も廃止予定)
(黒川のあたりにお住まいの方の生活の足やいかに……??)

 

<現行><転換後>
運行平日のみ運行(8便)平日のみ運行(7便、ただし妙見口駅発着は5便)
車両阪急バス中型車両
(定員59人)
ワンボックス車両
(定員9人)※1 ※2
運賃170~620円 ※3100~600円 ※4
利用
すべての方が利用可能能勢町民及び
能勢町への通勤者・通学者のみ利用可能
運営
主体
阪急バス能勢町

※1:車両は、Osaka Metro Groupが運営するオンデマンドバスと同規模
※2:車両は、同じく2024年4月から歌垣地区と東郷地区を含めた運行区域となる能勢町乗合タクシーと併用
※3:妙見口駅以北のみ。転換で廃止される妙見口駅~箕面森町地区センター間は除く。
※4:距離制で、現行の阪急バス妙見口能勢線の料金から100円未満を切り捨てる予定(小児半額)

 

 



今後の展望

持続可能な妙見口能勢線の運行を実現するため、
交通事業者・行政・市民等が一体となって
事業評価について検討されるとのことです。

  • 2024年度:妙見口能勢線の運行+『評価、軽微な見直し』
  • 2025年度:妙見口能勢線の運行+『評価、改善案の検討』
  • 2026年度:妙見口能勢線の運行+『評価、改善案の検討』
  • 2027年度:妙見口能勢線の運行+『評価、改善案の検討』
  • ・・・

また評価指標と目標値については
『利用者 26人 / 日』
と記載されており、これを下回り続ける場合は
減便や完全廃止も視野に入ってくるものと思われます。

(追記:公式資料)
妙見口のせ号(妙見口能勢線代替交通)の運行について/能勢町

 



参考:能勢町と妙見口駅周辺をとりまくバス交通の沿革

※詳細は https://www.town.nose.osaka.jp/material/files/group/4/2402_siryou1-2.pdf のP4を参照

  • 昭和年間~2003年:
    • 京都交通によるバスが妙見口駅~能勢町東地区経由~亀岡方面で運行。
    • 2000年頃に吉川営業所が廃止。
    • 2003年6月末をもってバス路線が廃止。
  • 1997年:
    • 阪急バスが運行する能勢町西地区の路線およびダイヤを見直し。
    • 宿野線(宿野~豊中センター、宿野~杉原)が新設され、当該路線維持の助成に関する覚書を町と阪急バスで締結。
  • 1999年:
    • 町営福祉バス運行開始。(2005年に運行体系見直し、2007年廃止)
  • 2003年7月:
    • 京都交通バスの撤退に伴い、阪急バスによる代替運行を開始。
      (現:妙見口能勢線。吉川~奥田橋、吉川~能勢町宿野~今西)
      赤字補填の助成に関する覚書・協定書を締結。
    • ※吉野や野間・大原地区に乗り入れていた路線については代替されていない。
  • 2007年:
    • 町営福祉バスに代わり、能勢町過疎地有償運送制度(現:公共交通空白地有償運送)を開始。
  • 2009年2月:
    • 妙見口能勢線の一部区間の運行を廃止。(能勢町宿野~月峰寺・今西系統)
  • 2011年12月:
    • 妙見口駅~箕面森町地区センターへの乗り入れを開始。
  • 2012年:
    • 妙見口能勢線の運行経路およびダイヤを一部見直し。
    • 阪急バス能勢営業所が猪名川営業所・豊能営業所に路線を移管して廃止。
  • 2016年:
    • 能勢小・中学校(ささゆり学園)が開校し、スクールバスの運行を開始。
  • 2017年4月:
    • 西能勢線の一部区間の運行を廃止。(杉原系統)
  • 2018年10月:
    • 西能勢線のダイヤを一部見直し。(減便)
  • 2019年3月:
    • 「能勢町内の路線バスの運行について」阪急バスより協議の申し出。
      • 西能勢線及び妙見口能勢線を対象に、路線のあり方・維持の手法、運行頻度、路線補助金について
      • 以降、阪急バスと減便の実施時期について協議
  • 2019年7月:
    • 豊能町余野(東能勢中学校前)から運行していた妙見山上ゆきの系統が廃止。
  • 2020年4月:
    • 能勢町地域公共交通会議の設置。
  • 2021年1月:
    • 地方バス路線維持費補助金の追加補助金の支払い実施。
  • 2021年4月:
    • 西能勢線の減便および、能勢町宿野~能勢の郷の区間を廃止。
    • 妙見口能勢線の運行日とダイヤを一部見直し。(土休日の運行廃止および減便)
    • 妙見口能勢線で西能勢線と一部重複していた奥山内~能勢町宿野の区間を廃止。
    • 地方バス路線維持費補助金の見直し。(増額)
  • 2022年6月:
    • 豊能西線の妙見口駅~豊能町東ときわ台住宅地への循環バスが廃止。
  • 2022年7月:
    • 一部区間で乗合タクシーの実証運行を開始。
    • 同11月、停留所の追加。(医療機関及び阪急バスへの乗継場所を追加)
    • 2023年4月、国民健康保険診療所の移転のため、一部停留所の変更。また当日予約を可能に。
    • 同10月、実証運行期間を終了。
  • 2023年12月:
    • 妙見の森ケーブルの廃止に伴い、日祝日運行の妙見口駅~ケーブル黒川駅間の系統が廃止。
  • 2024年4月:
    • 妙見口能勢線が路線タクシーに転換(予定)。

 

<参考リンク>

阪急バス豊能営業所 – Wikipedia

 



編集後記

ヨソ者が乗れるのは今のうちなのでお早めに・・・涙

 



「妙見口のせ号」運行開始!(2024/04/03 追記)

その後――

2024年4月1日より、能勢町が運営する
「妙見口のせ号」が運行開始しています。

事前に告知されていた通り、
日の丸ハイヤーさん(能勢営業所)による
定員9名のワンボックス車両となっています。

 


<一応ご留意事項>

本記事で取り扱っている妙見口駅バス停は、豊能町吉川・妙見山の西側の停留所です。

豊能町余野・妙見山の東側にある妙見口バス停は、本記事の内容とは無関係です。路線も存続します。

 

 


(NOSE KNITs – のせでん沿線の魅力紹介WordPress)

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