【日生ニュータウン50周年】猪名川町長・川西市長・能勢電鉄社長 若手登壇者とのトークショー

のせでんコラム,川西市,猪名川町


 

──便利さ・自然・安心・音・コミュニティ。6人の語りが交差する。

日生ニュータウンの良さについて語るとき、
行政トップも鉄道会社社長も若者も、驚くほど方向性が揃っていた。

ただし、それぞれの語り口には“世代と立場の違い”がくっきりと現れる。
それは、日生という街の「多層的な魅力」を示す鏡のようだった。

 



目次


前置き・概要

2025年11月22日、
日生ニュータウンまちびらき50周年記念フェスティバルが晴天のなか開催されました。

その中で行われた目玉イベントの1つが、
『猪名川町長・川西市長・能勢電鉄社長 若手登壇者とのトークショー』

それぞれの首長や社長は、将来への展望として何を語ったのか?

フェスティバル当日、
来賓を除けばいちばんいい席を押さえて
拝見してきたので、その様子をお伝えします。

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オープニング

10時のフェスティバル開会にて、
開会宣言とともにバルーンリリースが行われました。

 
駅前「人の広場」からサピエ屋内ステージに
場所を移して、10時半よりトークショーが開幕。

トークショー開始前の様子
  • パネリスト:
    • 越田謙治郎こしだ けんじろうさん(川西市長、以下「越田市長」)
    • 岡本信司おかもと のぶじさん(猪名川町長、以下「岡本町長」)
    • 西中哲郎にしなか てつろうさん(能勢電鉄株式会社社長、以下「西中社長」)
    • 猪名川町在住のTさん(以下「Tさん(兄)」)
    • 猪名川町在住のTさん(以下「Tさん(弟)」)
    • 川西市在住のKさん(以下「Kさん」)
  • コーディネーター(進行役):片桐新之介さん

以下、事前に用意された質問に沿って
パネルトーク形式で各登壇者が回答されていきました。

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①この町の良さはどこにあるか?

(進行役)

先ほどご紹介いただきました、コーディネーターの片桐と申します。
2001年、私が就職したのが阪急百貨店、最初の配属が川西阪急でございました。
川西阪急で5年ほど働きまして、思い出深い地でございます。
兵庫県に長く関わった者として、本日お声がけいただきまして、コーディネーターを務めさせていただきます。

まず本日は、今この日生中央が50年という節目を迎えまして、この町の未来をどう創っていくかということで、色々なお話を伺いたいと思います。

町というのは、そこに住む人や場所や歴史など、文化など様々なもので構成されています。
その住む人同士の交流なども必要ですし、そこで行われる経済活動も非常に重要かと思います。
今、日生中央の良さというのはどこにあるかというところを、ご登壇の6人の方々に一言ずついただければと思います。

 
越田市長「便利さと自然のゆとりが同居する、絶妙な街」

川西市長の越田です。今日は素敵な場所に招いていただいて本当にありがとうございます。
私自身も楽しみにしておりました。

私は市長になる前、川西市と猪名川町を選挙区とする兵庫県議会議員をしておりました。
両方を知る身からして、この日生ニュータウンの素晴らしさというのは、自然が近くにあって、大阪まで1時間以内であって、大阪市内ではもう絶対に実現しないような、例えば庭付きの大きな家が買えるとか、そういった生活が実現できる。
これが日生ニュータウンの魅力の一つだと思っています。

そして何より、北陵地域、松尾台地域のみなさんが本当に温かい。
コミュニティ活動も自然に続いていて、地域の支え合いをすごく感じます。

川西市・越田市長

 
岡本町長「都会と自然が一日の中で切り替わる」

最近では「トカイナカ」という言葉がありますが、
都市部に近い便利さと田舎ならではの自然が両立している所がこの町の魅力だと思っています。
通勤や買い物、それからクリニックにと便利な一方で、
四季折々の風景や静かな環境が楽しめるのも大きな魅力です。

この町はほんとに静かなんですよね。自然が豊かで、暮らしやすい町です。
私は昔、日生エクスプレスに乗って淀屋橋に通勤していたんですが、日生を出るときは鳥の声がして、十三に着いたらそば屋の出汁だしの匂いがして。
その“自然と都会が切り替わる感覚”がすごく好きでした。
本当に“落ち着く町”だと思います。

猪名川町・岡本町長

 
西中社長「ここは、実は“稀有”な生活圏」

西中でございます。
今日はこんなところでお話しさせていただいて本当にありがとうございます。

大阪にも神戸にも行きやすくて、道路も鉄道も整っている。
近くに新名神が開通して、遠距離にも行きやすい。
交通の利便性が非常に高い地域だと感じています。

それから、猪名川高校ができて50年、北陵高校が40数年。
これまでに多分1万人を超えるぐらいの高校生が卒業していった「歴史」がある。
人の財産が積み重なってきた町だと感じています。
当たり前のように思いがちですが、実は当たり前じゃなくて非常に稀有な地域だと思っています。

能勢電鉄・西中社長

 
Tさん(兄)「自然の音が、日生の日常をつくっている」

大阪から来たとき、まず“音が違う”と感じました。
大阪だと車の音や人の声が聞こえるんですけど、ここでは虫の声や風の音が当たり前に聞こえる。
それがすごく良いなと思いました。
それに、街のお祭りなど、地域の方々がいろんなことをされていて、すごくありがたい町だなと思います。

 
Tさん(弟)「子どもが自然に安心して遊べる町」

10年前に引っ越してきてまず驚いたのは、公園でなくても道端で子どもが遊んでいることです。
そういう、安全に、安心して過ごせる町なんだなと思いました。

 
Kさん「ここは、“ふらっと帰れる”場所」

都会はコンクリートが多くて、歩いているだけで疲れることがあります。
でも日生に戻ってくると、すごく落ち着くんです。
自然が多くて、静かで、帰ってきたって思える町です。

若手登壇者たち

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②この町のシンボルはなんだろう?

(進行役)

ありがとうございます。
適度なアクセスの良さ、そして適度なその自然環境との触れ合いが非常にこの町の良さなのかなと感じました。

それでは2つ目のターンに行きたいと思います。
さらにこれから、次の50年、この町を続けていく上での、
町の交流の場とか、もしくは日生中央という町のブランディングというものも大事になってくると思います。
特徴付け、この町は何がいいのか。そういうこの町の「シンボル」は何だろうかということ。
そして、もし市長や町長、そして西中社長様には、じゃあそのシンボルをどう育てていけばいいか、そういう視点でもぜひご意見をいただければと思います。

進行役の片桐さん

 
岡本町長「駅ビルとからくり時計、彫刻の道」

猪名川町内には色々なシンボルがありますが、
この日生ニュータウンに限ればまず一つ目はこの日生中央駅の駅ビル。
特徴的なフォルムをしており、電車から降りた時に「ああ、帰ってきたな」という、そういう実感ができるシンボルかなと思ってます。

もう一つは、カリヨンの塔のからくり時計。
子供がまだ小さい頃、このからくり時計を見にですよくここに来ました。

また長い目で見れば、彫刻家の鈴木政夫さんが作った「彫刻の道」というのがあります。
元々は日生ニュータウンの車止めだったんですが、少しずつ風化をしてこの町に溶け込んで。
彫刻の道そのものがこの町のシンボルだと思ってます。今度の彫刻の道マラソン(12/14)のコースとしても利用されます。
今後50年も大切に育てていきたいなと思っております。

 
Kさん「この町を象徴するのは“空”」

この町のシンボルっていうところで言うと「空」かなと思ってて。
空を見上げると、都会ではどうしてもマンションや電線だったり、人工物が目に入ってきます。
しかし猪名川町のような自然がいっぱいのところで顔を上げると、緑だったり鳥だったり、自然のものが目にたくさん映ってくる。
邪魔するものがないので、いつもよりぐっと空が広く見えるんです。
そういうところで言うと、この町のシンボルは空なのかなと思います。

 
西中社長「駅前広場と街並みが象徴する“日生の完成度”」

ハード的な目に見える物としては、ここのサピエさんだとか、駅前の広場であったり、
駅中心に、街並みも含めて、この日生中央駅周辺が一番シンボルだと思います。

50数年前から造成が始まって町ができて、少しずつ皆様が入居されて現在に至ってて。
50年というと我々の人生の長さからいったらすごい長いように思うんですけど、町の歴史としてはそんなに言うほど長くはないと思います。

この町は本当に安全で、安心で、豊かな暮らしを多分されていると思います。
ブランドという意味では、これこそがブランドではないでしょうか。

今は年配の方が増えてきていますが、その方々がずっと作ってきた町を、これから若い人に引き継いでいって、これからもいい町、暮らしやすい町を、ずっと築き上げていかれるのが、この町のブランドだと思っています。
能勢電も一員として頑張りますので、どうぞ皆さん一緒にやっていきましょう。

 
Tさん(弟)「子どもの頃から心に残る“歌う人形たち”」

日生中央の広場にある、決まった時間に出てくる「歌う人形」たちだと思っています。
幼稚園の頃から、つい立ち止まって見てしまいます。
季節によって服が変わったりしていて、この町といえばと聞かれると、歌う人形と答えるようになっています。

 
越田市長「日生中央駅と、整然とした街区」

一つはやっぱりこの「駅」だと思います。
住宅都市の最大の魅力は、利便性が高いということにあります。
なのでこの駅というものが日生ニュータウンにとってはすごく大事なものであって。
利便性というキーワードと、日生ニュータウンの真ん中にあるのが日生中央駅が一つになっているというのが、この町のシンボルだなと思っています。

あとは道が広くて、区画が分かりやすくてしっかりしている。
川西市とは歩道の色が違うので、選挙カーに乗ったりしていると「あ、猪名川町に入ったな」っていうのが一目で分かったりします。

共通の思い出、共通の景色をみんなで作っていきたい。
直近では、北陵地域のコミュニティ協議会で、12月13日に花火大会が開催されます。
猪名川花火大会が2年に1回になったので、猪名川じゃなくてそれぞれの地域で花火を上げてもらおうという一環でやっています。
これもまずは川西側でやりましたけど、花火大会に限らず、一緒に地域の中で物を作っていくことができる町になれば、日生は50年で終わらず100年、150年と続いていけると思っています。

 
Tさん(兄)「自然の音そのものがシンボル」

引っ越してきて最初に思ったのが、音がないなっていうのをすごい思ってて。
無音というわけじゃなくて、虫の音とか風の音とかがよく聞こえる。

大阪にいた時は都会に住んでいたので、人の声とか、うるさい酔っ払いのおっちゃんとか、車や電車の音など、あんまり自然の音を意識的に聞けるような環境ではなかった。
そういう意味では、この町全体の雰囲気というか、聞こえてくる自然の音が、具体的な場所はなくても、この町の自然をシンボルと言えるのではないかなと思っています。

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③これからの50年について

(進行役)

2つの質問をさせていただきました。
この町の良さと、そのシンボルをどう育てていくかということについて質問をさせていただきました。

日生ニュータウンがこの50周年という節目から、そして来年は51年、52年となっていく。
その中で、50周年というこの節目の機会をきっかけとして、
この町をどう作っていくか、次の50年どうやっていけばいいのかということについての、ご意見をいただきたいと思います。

 
岡本町長「変わる時代に、自然と暮らしの調和を守る」

駅前の更新や、施設のバリアフリー化など、
地域のみなさんの要望をいただいて、暮らしやすさへの取り組みを進めているところです。
日生中央周辺の商業地の活性化もキーワードになっているかと思います。

猪名川町・岡本町長

でも、この町を盛り上げているのは行政だけでなく“地域の皆さんの自主的な活動”。
最近だと駅前の『モクヨウナイト』のような取り組みがその好例です。
川西市の住民の方や、能勢電の社長さんにも部下を連れてやって来て頂いたことがありました。

春~秋の木曜日は、駅前が『モクヨウナイト』のキッチンカーや屋台でにぎわう

 
越田市長「行政の“垣根を壊す”ことで日生を一つに」

地域の皆さんと一緒に、人と人とのつながりを大切にしながら、この町の未来を育てていきたいと思っています。

『日生は一つ』というのが、今回のテーマです。
そのために必要なこと。

1つ目は、垣根を取り除く・壊すということだと思っています。
これから人口が減って子供も減っていきます。その中で、学校の授業から地域活動まで、担い手が少なくて大変だというなら、松尾台と北陵の地域で一緒にやったらどうだといった、今までの枠組みを超えて一緒にやっていく、日生が一つになっていくということが、まず1つ大切なことだと思っています。

2つ目は、繰り返しですが
まちづくりに必要なのは「共通の思い出、共通の景色」だと思っています。
この共通の思い出、共通の景色をみんなで作っていきたい。
子供の時にまちづくりに関わったらですね、大人になっても、例え外に出て行っても絶対戻ってくるんですよね。
子供や若い人たちに対して、もっと参加をしてもらうような仕掛けが作れればいいと思います。

川西市・越田市長

最後に、高齢化というとネガティブに言われるんですけど、
例えば日生ニュータウンに住んでいる方だけ、みんな100歳になっても元気だよってなったら、もう日生に住んだ方がお得だというふうになりますよね。
ここにいらっしゃる皆さんが、20年後、30年後も元気でいていただけるということが、この町がずっと続いていって、戻ってきたい町になる1つの秘訣だと思いますので、みんなで100年を目指して頑張りたいなと思います。

 
西中社長「課題を自分ごとに。空き家も、広場も、未来の財産に」

この町で課題が発生した時に、自分事と捉えて課題解決に向かっていけるか、皆さんで力を合わすことができるかっていうのが、必要だと思ってます。

人口減少や、交通事業者で言うと運転士が不足するということは目に見えてきている。
お店もこれから人口減少していった時に商売が成り立たなくなったり、そういうことも多分出てきます。

その時に、皆さんがどうやって問題解決できるかっていうのは、行政だけに頼るのではなく、自分たちで解決していくっていうところが非常に大切になる。
そういう力を皆さんで作っていければ、もう50年いけると思ってます。

そして力を合わそうと思ったら、ふだん楽しいことも一緒にしないといけないと思ってます。
なので先ほど挙がった花火大会やモクヨウナイトもそうですが、もっと他の楽しいことも、皆さんのコミュニティの力で作っていければ、もう50年と言わず、次の世代、さらに次の世代とずっと続いていけると思っています。
例えば駅前広場が、昼間は何にもない状態であるっていうのは、財産でもあるし、少しもったいないと感じています。
例えば、3on3とかスケボーができたり、学生さんやお子さんがこの広場に集ってきて遊べるものを置いてみるといった試みを、ここの皆さんのコミュニティや能勢電も含めた、地元の意志として、一つずつでも作っていければ、より充実した場所にしていけると思っています。

能勢電鉄・西中社長

また、別の切り口で考えると、人に戻ってきてもらうとか移住してもらおうと思ったら、物件がないとなかなか戻ってこないですよね。
今自分が住んでいる(別の)地域で思ってるのは、空き家のままほっとく方が多くてですね。売りに出たらすぐ売れるんですけど、たとえば誰も住んでない家がたくさん残ってしまうっていうことが課題で。
ですので、住まなくなった時はぜひ流通経路に乗せてほしいなと思っています。なかなか言いにくいことですけど、それがやっぱり街並みを守る、大切なことだと思っています。

 
Tさん(弟)「日常に根ざした活動で街を支えたい」

ゴミ拾いや挨拶運動など、
自分からできることで、町を良くできたらいいなと思っています。

 
Kさん「自然の価値を守り、この街の良さを外へ発信したい」

「帰ってきたくなる故郷」を作るため自然を守りたい。
この自然を大切にして、“また帰ってきたいと思える町”にしていきたいです。

 
Tさん(兄)「自分たちがイベントを作り、広場に人が集まる未来を描く」

駅前の広場がもっと盛り上がってほしいです。
自分たち若い世代でも、いろんなことに挑戦できる場所になっていけばいいなと思います。

 


 

盛況のうちにあっという間の1時間。
もうエンディングの時間です。

 
西中社長

最後に、日頃の能勢電鉄をご愛顧いただいてありがとうございます
お客さんの数は減ってきてますけれども、我々もできるだけのことをやっていきますので、これからもどうぞよろしくお願いします。

 
岡本町長

こういう機会をお持ちいただきましてありがとうございます。
この町を作っていくのは行政ではありません。
皆さんお一人お一人の力でこの町を作っていきたいと思ってます。

そして、この日生ニュータウンに住んでよかった、あるいは住み続けたいと、そういう町にしていきますので、引き続き皆さんのご理解とご協力をよろしくお願いいたします。
みんなで住みやすい町にしていきましょう。

 
越田市長

最後になりますが、本当に今日は貴重な時間ありがとうございました。
私も楽しい時間になりました。
最初、西中社長からこういう取り組み一緒に何かできませんかとお声がけを私たちにいただいて、それがスタートで地域の方にもご協力いただいて今日がありました。

「日生が一つ、日生は一つ」というのが、今回の私たちのテーマです。
今日をきっかけに、この日生に住む人が、川西市・猪名川町の垣根なく、松尾台地域・北陵地域の垣根なく、本当に一緒にまちづくりに関わるようなスタートになればと思っております。
一緒にいい町を作っていきましょう。今日はありがとうございました。

最後に記念撮影!

 

最後は記念撮影をして締めとなりました。
あらためてパネリストの皆様、ありがとうございました。

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50周年記念フェスティバル その他のギャラリー

『日生ニュータウンまちびらき50周年記念フェスティバル』

その他のイベントやキッチンカーさん等々。

今回のMCはエアブルースさん。(聖剛さんが猪名川町出身)
きんたくん・いなぼう・恐竜たちも大活躍!?
能勢電鉄さんのブースではフルマルーンに塗られた「7201」が……笑

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編集後記

能勢電鉄さん主導で、
素敵なイベントありがとうございました☆

いざ、次の50年へ!!

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関連リンク

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(NOSE KNITs – 能勢電鉄と沿線を応援するサイト!)

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